「今日も大漁♪わーいわーい♪」

暗くなり始めたルゥンの村を軽い足取りで大きな袋を背負い

ニコニコとあるくドワーフの少女が一人。

「皆喜んでくれてよかったにゃー、オルちゃん今日も頑張ったー!」

知人と聖者の渓谷での狩りの帰り道。

DCローブの図をスポッた事もあり今日は熊なべでも食べて寝ようと

宿へ向かう途中の事だった。

「ラピス・オルフェウスの娘、オノエルさんですね?」

見知らぬ男・・・しかもフードをかぶり、いかにも怪しげな格好の男に声をかけられ

流石のオル・・・・本名「オノエル・J・オルディウス・オルフェウス」も引きつる。

「そーですけどぉー・・・おじちゃんだぁれ(・_・?)」

おそるおそる聞く。が。

  パチン

男が突然指を鳴らした。

 ザザザザ

あっという間に囲まれるオル。慌てて荷物から幻影武器のグレートアックスを取り出す。

「一緒に来てもらおう。」

「ヤダ。」

「・・・手荒な真似は避けたかったのだがな。」

フードごとマントを脱ぎ捨てた男の背には

左一枚の大きな羽根。



〜A spiritual petal〜



ここはハーディンの私塾。魔術師ハーディンのその弟子、そしてスキルエンチャントトレーナー二名と

一人の居候が住む場所。

私塾の洞窟の上・・・微妙に下からは死角になる場所で洗濯物を干していた居候、ヨハネス・パブテスマは

人の気配に気づき手を止めた。

「珍しい客人ね・・・・。」

そうつぶやき手早く洗濯物を干し終わらせる。

「すみませーん。・・・本当にここにいるのかあの人は?」

「オルちゃんが言ってたんだからいるでしょ。知らないけど。」

体格がいいのに青ローブを着たHFの男と重を着込んだHMの青年の二人組は

私塾のロビーに入るとおもむろに声をあげる。

「はい、どうされました?」

対応に出た弟子の一人にHFは尋ねる。

「あのーここに、セイクレッドってプロフのねーちゃん住んでますか?」

その言葉に弟子は若干首を傾げる。

「えーと・・・確かにプロフの女性は住んでおりますがお名前が・・・・。」

「私の事であってるわよ。セイクレッドは旧友たちが私を呼ぶ時の愛称。」

弟子の言葉をさえぎり、洗濯籠を持ったままその後ろから例の女は入ってくる。

「お、いたいた、おひさー。」

「こんにちはー。」

自分を見て、いたいたという表情をする二人に軽く手を振ってみせる。

「ありがと、私の客だから後は大丈夫。篭だけお願いできるかしら。」

そう言って弟子に洗濯籠を預けて二人に向き直る。

「珍しいわね、私を訪ねてくるなんて。オルはどうしたの?」

数度面識があるだけの相手に腰に手を当てて尋ねる。

この二人は、かつてのセイクレッドの血盟員であるオノエルの現血盟員。

以前ある事件で出会いそれから数度ギランで会った以外には

特に接触のない二人である。

それがオノエルをつれずに自分を訪ねてきたということがいささか気になる。

「そのオルちゃんの事で着たんです。」

以前るーしぇと名乗っていた青年の言葉に首を傾げつつ、中への通しお茶を入れる。